8月14日から25日までチェコ・プラハで開かれる第26回国際天文学連合(IAU)総会で、「惑星」の定義が決まるかもしれない。これまで惑星の科学的定義はなく、「冥王星は惑星と呼べるのか」などの議論が起きていたが、これらが決着するのではないかと注目されている。
惑星はこれまで一般的に、「軌道を占有して太陽などの恒星を回る、ある程度の大きさを持つ天体」とされてきた。惑星かどうかは、IAUの総会で決められる。
冥王星(直径約2300キロ)は、一つ内側を回る海王星(同約5万キロ)に比べて小さいことなど他の惑星から、惑星と呼べるのかという議論があった。さらに、米航空宇宙局(NASA)が05年、冥王星の外側を回る天体(同約3000キロ)を発見したと発表。「第10惑星」と公表したことで、いっそう混乱したこともあり、惑星の明確な定義を検討することになった。
国立天文台の渡部潤一助教授(惑星科学)によると、IAUの部会が1年以上議論したが結論が出なかった。そこで、「惑星の定義委員会」を新たにつくり議論、7月1日に定義の原案をまとめた。今後、評議委員会で審議され、順調に行けば8月24日に投票で議決される。渡部さんは「惑星の大きさ、質量、形などの科学的定義を決めて、これまでのイメージより広げることもあるし、太陽系の惑星は冥王星を外し八つのみにする可能性もある。結論が先送りされるかもしれないが、定義が決まれば、これまでの混乱も収まるだろう」と期待する。【下桐実雅子】
毎日新聞 2006年7月29日