国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館(長崎市)は5日、米ネバダ州ラスベガスの核実験博物館で、原爆被害の実態を伝えるための展覧会を開催した。27日までの期間中、被爆者の講演や写真の展示など、幅広く反核メッセージを米国民に届ける。
開幕式には、200人以上の米国市民らが詰め掛けた。長崎市で13歳の時に被爆した丸田和男さん(74)が原爆投下直後の長崎市内の様子を克明に報告、講演の最後を英語で「原爆の被害を受ける都市は、長崎を最後にしてほしい」と締めくくると、ほぼ全員の聴衆が立ち上がり、長い拍手を送った。
原爆展では、長崎と広島の被爆地の写真や被爆者の遺品など約60点を展示。熱線のため半分溶けた仏像や大やけどを負った人たちの写真などが米市民の目を奪った。このほか、自身も被爆しながら患者救済に奔走した医師の故秋月辰一郎さん(昨年10月死去)の半生を描いたアニメ映画「アンゼラスの鐘」が上映された。
昨年2月に開館した同博物館は、米国の核実験や核兵器開発の歴史を紹介する施設で、これまでに4万人以上が訪問。館内には核実験のビデオ展示のほか、実験時の音と振動を体験できる「グラウンド・ゼロ・シアター(爆心地劇場)」も併設されている。(ラスベガス共同)
毎日新聞 2006年8月6日