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ひき殺し:「残虐非道、反省なし」懲役16年 名古屋地裁

名古屋市東区で昨年12月、当て逃げの乗用車の前に立ちふさがった愛知県小牧市中央2、会社役員、松本伸一さん(当時41歳)をひいて殺害したとして、殺人の罪に問われた同区古出来1、飲食店経営、高橋清水被告(34)の判決が7日、名古屋地裁であった。伊東一広裁判長は「生きている被害者を車底部で300メートルひきずったあげくにひくという残虐非道な犯行。不合理な弁解に終始し、反省も見られない」として、懲役16年(求刑・懲役20年)を言い渡した。

 高橋被告は殺意を否認していたが、伊東裁判長は「ボンネット上に乗せたまま加速すれば、転落して後続車にひかれ死亡する危険性を認識していた」とした指摘。さらに「車底部でひきずっていることも認識していたと推認される」とし、「殺人の未必の故意があった」と判断した。

 公判で高橋被告は、立ちふさがった松本さんにぶつかりボンネット上に乗せ、路上に落としたことは認めたものの、弁護側は「松本さんは高橋被告の後続車にひかれた」などとし、死亡との因果関係も否定。殺人罪は成立せず傷害罪にとどまると訴えていた。

 伊東裁判長は判決で「高橋被告の車がひいたことによって死亡した」と因果関係も認定した。

 判決によると、高橋被告は昨年12月18日午前5時15分ごろ、同区白壁2の国道41号で乗用車を運転中、トラックに追突。逃走を阻止しようと立ちふさがった松本さんにぶつかり、死亡する可能性が高いと認識しながら急加速し、約300メートルひきずった後、頭などをひいて殺害した。【加藤隆寛】

毎日新聞 2006年8月7日 

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