フランスの国立劇団コメディ・フランセーズの総支配人に、女優兼演出家のミュリエル・マエット氏(42)が指名され、閣議で承認された。ルイ14世の命で1680年に創設され、現存する世界最古の劇団の一つとされるコメディ・フランセーズを女性が率いるのは初めて。フランス各メディアが伝えた。
マルセル・ボゾネ前総支配人の任期切れに伴う人事。任期は5年。マエット氏は1985年に同劇団の準座員となり、88年から正座員。これまで女優として30以上の役柄を演じたほか、六つの作品を演出した。国立高等演劇学校で若手演劇人の指導にも携わった。
ボゾネ氏は来年初めに上演予定だったオーストリア人作家の作品について、5月に上演中止を決定。作家が旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷に起訴されていたミロシェビッチ元ユーゴ大統領の葬儀で賛辞を述べたことが中止理由だったため、決定は検閲に当たるのではないかと激論となった。
総支配人の人選を握るドヌデュードバーブル文化・通信相が上演中止に不満を抱いていたとされるが、今回の人事との関連は明らかでない。(パリ共同)
毎日新聞 2006年8月9日