9日午後4時20分ごろ、北海道十勝管内新得町のトムラウシ山(2141メートル)の登山口から約6キロの林道で、2日に単独で登山に出かけたまま行方不明になっていた埼玉県所沢市西新井町、無職、長明啓造さん(70)がうずくまっているのを釣りの下見に来た男性が発見した。長明さんは男性の車で約12キロ離れた国民宿舎「東大雪荘」まで送られ、自分で新得署に通報した。川で転んだすり傷はあるが、命に別条はない。長明さんは一握りの固形ブドウ糖と干しえびだけを持っていて、川の水を飲み7日間をしのいだ。
同署によると、長明さんは入山した2日はテントで夜を過ごし、3日早朝山頂に着いたが、下山途中に濃霧で道に迷った。その後は沢に沿って下流に向かい歩き続けたという。5日、長明さんのテントが見つかったため、妻が同署に通報。6日から道警など延べ180人態勢で捜索していた。
長明さんは登山歴10年で深田久弥の日本百名山のうち約80の山を踏破している。東大雪荘によると「足腰にやや不安はあるが、至って元気」という。【仲田力行】
毎日新聞 2006年8月10日