愛知県岡崎市で02年6月、帰宅途中の大学生、下村麻由美さん(当時19歳)を刺殺したとして、殺人の罪に問われた男(21)=事件当時、高校3年の17歳=の公判が28日、名古屋地裁岡崎支部であった。裁判所が実施した情状鑑定書が採用され、鑑定した大学助教授は動機について「自立出来ない焦燥感から、自分を変えるため、自身を圧倒する若い女性に(殺意が)直線的に向かった」などと述べた。
鑑定で男は自身について「地をはうような卑小で、わい小化した自己価値しか持っていない」とした。さらに「自分を変えたいとの思いに苦しみながら、変えるとのイメージが持てず、いらだちを募らせ自殺を図ったこともある」などと述べた。
一方、検察側は下村さんが所属していたフライングディスク部の監督の手紙を提出し、「麻由美も誰もが悩んだであろう『自分を変えたい』という思いのため、人を殺すというばかげた思いを許すことは出来ない。事件を環境のせいにしてはならない」との内容が紹介された。【月足寛樹】
毎日新聞 2006年8月28日