愛知県豊川市で今年5月、生後9カ月の女児を浴槽に沈めて死亡させたとして、傷害致死罪に問われた父親の同市桜町、会社員、重松慎太郎被告(23)と、母親の無職、幸子被告(25)の初公判が30日、名古屋地裁豊橋支部(島田周平裁判長)であった。両被告は起訴事実を大筋で認めたが、共謀については否認した。
起訴状によると、幸子被告は5月7日、自宅の浴室で、二女夏蓮(かれん)ちゃんの顔に約10回シャワーを浴びせ、慎太郎被告が何回も頭をつかんで全身を浴槽内に沈めて死亡させた。
検察側は冒頭陳述で、幸子被告について「夫が仕事を転々とすることや、浮気への不満、育児のイライラから、夜泣きする夏蓮ちゃんを毎日のように浴槽に沈めていた」と指摘。慎太郎被告についても、夫婦関係などへの不満を持っており、「妻に子供はおぼれさせればよく寝つくと言われ、繰り返し子供を浴槽に沈めてイライラを解消していた」と述べた。
弁護側は「転居の繰り返しや夫婦間の問題、夜泣きなどから幸子被告は不安定な心理状態に陥っていた。慎太郎被告は虐待を主導したものではない」と主張した。【宮里良武】
毎日新聞 2006年8月30日