障害者被害詐欺:「高い利息」手話で勧誘 会社社長告訴へ
「高い利息を払う」と手話で勧誘され計5750万円をだまし取られたとして、山梨県の50~60歳代の聴覚障害者6人が31日、詐欺と出資法違反(預かり金の禁止)容疑で、東京都世田谷区の福祉機器販売会社の女性社長(55)と社員3人を山梨県警に告訴する。被害相談を受けている都民総合法律事務所(東京都新宿区)によると、このほか東京、埼玉、愛知、静岡など9都県の50人が計約6億円の被害を訴え、一部は東京地裁などに損害賠償を求め提訴、支払いを命じる判決も出ている。
山梨県の被害対策弁護団によると、同社社長や社員は05年4~9月、社長が世田谷区で営む貸金業の登録証を示し、「神奈川県湯河原町の高齢者福祉施設の運営費用に使う。もうかるから年5~6%の利息を毎月振り込む」と手話で勧誘。6人は400万~2300万円を預け、社長名などを記した借用書を渡されたが、利息は支払われなかったり、1、2回入金されただけだった。元本の返金を求めても「必ず返します」と返済期日が明記されない文書やメールが届いたという。
弁護団の花輪仁士弁護士は「民事訴訟で勝訴しても預けた金が返ってくる可能性は低い」などと告訴する理由を話している。
同社の電話は解約され、毎日新聞の取材に施設側は「社長と連絡が取れない」と回答している。【吉見裕都】
毎日新聞 2006年8月31日