行政書士の訪問リフォーム会社社長が成年後見契約を結んだ85歳の認知症の女性宅を売却しようとした問題で、女性の親族は30日、「売買の手付金や高額のリフォーム代金が返ってこない」として警視庁新宿署に被害届を出した。同署は受理し、捜査するとしている。
届けなどによると、社長は05年9月に女性と任意後見契約を締結。2日後に東京都新宿区内の女性宅を不動産会社に売却する契約を結び、手付金440万円を受け取った。しかし女性は認知症で事情が分かっていなかったため、親族が不動産会社に手付金分を支払って売買契約を解除。社長との後見契約も解除して手付金の返還を求めたが、返されないという。
また、社長の経営するリフォーム会社はこれ以前に、女性と少なくとも3件計約120万円のリフォーム契約を結び、施工したが、1級建築士の調べで工費が適正額の数倍だったことが判明。差額約100万円もだまし取られたとしている。
これに対し社長は「家は女性の意思で売ることになった。手付金の一部は既に女性に渡しており、残りも返す意向だが、相手が受け取らない。リフォームの工費は適正な額だ」としている。【リフォーム取材班】
毎日新聞 2006年8月31日