米臨界前核実験:23回目を実施 NNSAが発表
【ワシントン和田浩明】米エネルギー省国家核安全保障局(NNSA)は30日、米太平洋時間同日午前11時(日本時間31日午前3時)に米西部ネバダ州の地下核実験場で、臨界前核実験「ユニコーン」を実施したと発表した。核爆発を伴わない臨界前核実験は今年2月にも行われており、97年の開始から通算で23回目。同局は「米国の核兵器の安定性、信頼性維持に重要な情報を入手するため」と説明している。周辺への放射能漏れは検出していないという。
今回の実験は、核兵器開発が疑われるイランに対して国連安保理決議が定めたウラン濃縮活動の停止期限(31日)の直前に行われており、イランなどが反発する可能性もある。
過去の臨界前核実験はすべて「U1a」という横穴の地下施設で行ったが、今回は初めて「U6c」と呼ばれる立て坑施設を使用した。この施設での実験は「(本物の)地下核実験に似て見える」(同局)ため、反核団体などは「他国が行った場合、臨界前か本物の実験かの検証が困難になる」などと批判している。同局はU6cを使用したのは「スケジュール上の問題」と説明している。
毎日新聞 2006年8月31日