携帯電話の「良番」の詐欺事件で、詐取された良番が、逮捕された携帯電話番号販売会社「ナンバーアスリート」社長、中尾臣吾容疑者(31)の知人男性を通じ、約1300万円で第三者に転売されていたことが30日、兵庫県警暴力団対策課の調べで分かった。この良番は下8ケタがすべて同じ数字で、希少なため良番市場でも人気が高く、億単位の値が付けられることもあるという。実際に4億円での買い取り希望者もおり、同課は不自然な「安値」で転売した経緯を捜査している。
調べでは、中尾容疑者の指示を受けた山口組系暴力団組員の保科宏和容疑者(32)=詐欺容疑などで逮捕=が昨年5月、同県西宮市にある会社の男性経営者(54)の委任状を偽造するなどして、男性の良番を詐取。同6月、愛知県に住む中尾容疑者の知人男性の名義に変更した。知人男性は約1年後の今年7月に約1300万円で第三者の男性に転売。さらにこの男性から、今月までに2人に相次いで名義変更されていた。
同課は約1300万円の「安値」で転売された後、約2カ月間で2度も名義変更されていることを重視。この時期に福岡県内の男性が、この番号を約4億円で購入する意向を示しており、経緯を調べている。
一方、保科容疑者は中尾容疑者がかつて経営していた自動車解体会社で働いたことがあり、約15年来の仲だったという。
毎日新聞 2006年8月31日