名人戦の毎日新聞社単独主催案が臨時総会で否決され、会見で質問に答える米長邦雄・日本将棋連盟会長(奥は中原誠・同連盟副会長)=東京都渋谷区の将棋会館で1日午後4時26分、馬場理沙写す
名人戦の主催問題を審議する日本将棋連盟(米長邦雄会長)の臨時棋士総会が1日、東京・千駄ケ谷のけんぽプラザで開かれ、毎日新聞社の単独主催案が反対多数で否決された。総会には現役、引退棋士合わせて195人のうち192人が出席(委任状36通を含む)。契約期間を7年間(66~72期)とした毎日新聞社案に対する表決を行い、「支持する」90票、「支持しない」101票だった(議長は投票せず)。
総会終了後、米長会長は「今後は朝日新聞社との契約を前提に交渉するが、朝日新聞社に毎日新聞社との共催の意思があれば、それも含めて交渉する」と語った。
連盟の理事会は3月、名人戦の主催を毎日新聞社から朝日新聞社に移す方針を決め、66期以降の契約解消を求める通知書を毎日新聞社に送付。本社の撤回要求に応じないまま5月9日に両社共催とする案を提示した。その後、連盟は当初の通知書の内容を事実上撤回した文書を毎日新聞社に提出。同26日の棋士総会では「毎日新聞社が単独主催を希望した場合は棋士の表決を行う」などの案が承認された。
この総会決定を受け、毎日新聞社は7月10日に単独主催案を提示。(1)名人戦契約金(64期は3億3400万円)とは別に将棋振興金3000万円を7年間拠出(2)66期の契約金は100万円増額して3億3500万円とし、67期以降は毎年協議(3)名人戦と併せて王将戦を継続--などという内容を盛り込んでいた。
▽毎日新聞社社長室広報担当の話 当社の案が臨時棋士総会の表決で否決されたことは誠に残念です。当社案への支持を表明していただいた森内俊之名人や羽生善治王将はじめ次代の将棋界を担う多くの棋士の皆さまに感謝申し上げます。今回の経緯と結果を踏まえ、今後の日本将棋連盟との関係につきまして総合的に検討していきたいと思っています。
▽大峽(おおはざま)敏孝・朝日新聞社常務(広報担当)の話 名人戦は、弊社が30年来熱望してきた棋戦です。その新たな契約の交渉相手として棋士の方々から選んでいただき、心より感謝いたします。将棋界の発展・振興を常に念頭におき、毎日新聞社との共催の可能性も探りながら、日本将棋連盟理事会と話し合っていきたいと考えています。