【カイロ高橋宗男】イスラエル軍の攻撃を受けるレバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの指導者ナスララ師は3日夜、ヒズボラ系テレビのアルマナルが放映したビデオ声明で、イスラエル軍の「民間人攻撃」停止を前提条件にイスラエルに対する攻撃を停止する用意を示した。7月12日の戦闘開始以来、条件付きながらもヒズボラが停戦に応じる可能性を示唆したのは初めて。
ナスララ師は声明でイスラエルに対して「我々の都市や郊外の居住区、民間人、社会資本に対する軍事作戦をやめるならばイスラエル人入植地や都市をロケット弾で攻撃しない」と述べた。
ただ、ナスララ師はイスラエルがベイルート中心部を攻撃した場合には「(イスラエルの主要経済都市)テルアビブを攻撃する」と警告した。停戦に応じる姿勢をちらつかせる一方、より強硬な手段に出ることもほのめかしてイスラエルに揺さぶりをかけている。
レバノン国境からテルアビブまでは約120キロ。イスラエルはヒズボラがイラン製などの高性能ミサイルを保有しているとみて警戒している。イスラエル・メディアによると、イスラエル軍筋はナスララ師のテルアビブ攻撃警告について「脅迫が実行されればレバノンの社会資本をたたきつぶす」と報復を示唆した。
AFP通信によると、イスラエル軍は4日未明、ヒズボラ拠点のあるベイルート南郊やレバノン南部・東部を空爆し、民間人3人が死亡した。
毎日新聞 2006年8月4日