事務所家賃などに年間4000万円もかかったと報告し、実家や支援者宅を事務所に指定して「家賃を払っている」ケースも。8日公開された05年の政治資金収支報告書の支出欄には“不透明”な記載が目立つ。【青島顕、永井大介】
■ピンキリ
賃料がない議員会館の部屋を「主たる事務所」とし、家賃が中心の「事務所費」に2000万円以上支出している国会議員の資金管理団体が少なくとも4団体あった。伊吹文明・自民党伊吹派会長の政治団体は、4146万円を計上した。秘書は「(議員会館以外に)東京、京都の事務所の家賃で1500万円。交通・通信費、印刷費なども月200万円かかる」と強調した。総務省によると、事務所費は家賃、電話代、切手代など事務所の維持に通常必要とされるものを指し、交通費は含まれない。
「事務所費」などは明細の記載や領収書を添付する必要がない。3359万円計上の松岡利勝衆院議員(自民)の事務所は「内訳は報告の必要がないので控えさせていただく」とコメントした。
一方、主たる事務所を議員会館とし、ほかに東京都江戸川区に月家賃15万円の部屋を借りているという平沢勝栄衆院議員(自民)の資金管理団体の事務所費は394万円。秘書は「議員らの携帯電話代や国政通信を送る費用、電話代、祝電・弔電のレタックスを含めての値段だ」と話した。
■事務所は家
東京・世田谷の高級住宅地にある2階建ての家。木村義雄衆院議員(自民)の七つの関係団体すべての「主たる事務所」だ。木村氏の実家で、家族の1人が住むという。団体のうち一つは、事務所費582万円を計上。議員会館にある木村氏の事務所に質問したが、7日までに答えはなかった。
野呂田芳成衆院議員(自民)の公設秘書が代表の団体は、豊島区の住宅地の個人宅が「主たる事務所」。事務所費763万円を計上したが、同氏の事務所から説明はない。
国会議員秘書を長年務め「永田町のからくり」の著書がある永田長太氏の話 収入に比べ、支出はいいかげんでも許されるという風潮がある。しかし、政党交付金として年間300億円以上を税金から政治資金として分配しているのだから、そうした考えは許されない。4000万円も事務所費がかかるなど考えにくい。事務所費などには領収書の提出を義務付けるべきだ。
毎日新聞 2006年9月8日