政府は11日、通常兵器に転用可能な製品の輸出に際し、北朝鮮など4カ国をより厳しい規制対象国に指定している措置について、リビアを対象国から外す方針を固めた。同国が03年、大量破壊兵器の廃棄を決め、今年5月に米国がテロ支援国リストから除外したのを受けた対応で、10月末にも閣議決定する。敵対姿勢を改めるのと引き換えに圧力を緩和する米戦略に呼応し、北朝鮮に政策転換を促す狙いもある。
軍事転用可能な製品の輸出は外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づく政令で規制されている。うち通常兵器に転用可能なポンプや光ファイバー通信ケーブル、集積回路など約80品目については、(1)100万円以上の製品は経済産業相の許可が必要(2)北朝鮮など4カ国を「懸念国」とし、5万円以上に許可取得を義務付ける--と2段階で規制している。
今回、政府はリビアを(2)から外し、一般的な輸出規制の(1)に移す。また、北朝鮮など3カ国への輸出に対しては上限をなくし、すべてを許可制とすることで輸出規制を強化する方針だ。
日本がリビアを懸念国に指定したのは93年。対米テロなどを踏まえた措置だったが、リビアの政策転換を受け、米国は今年5月に国交正常化を発表した。日本も安倍晋三官房長官が今月8日、リビアのマトゥク労働・訓練・雇用相と会談するなど関係改善を進めており、内閣官房幹部は「国際的な安全保障環境は常に変化している。リビアと米国の和解もあり(今回の措置は)妥当と判断した」と話している。【小山由宇】
毎日新聞 2006年9月12日