東京都日の出町の一般廃棄物最終処分場が「汚水漏れで環境に悪影響を及ぼしている」などとして、住民らが処分場を運営する「東京たま広域資源循環組合」(多摩地域26市町で構成)を相手取り、操業差し止めなどを求めた訴訟で、東京地裁八王子支部は13日、住民側全面敗訴の判決を言い渡した。住民側は控訴する方針。
問題となったのは「谷戸沢処分場」と「二ツ塚処分場」。小野剛裁判長は、(1)谷戸沢処分場について(汚水の漏出を防ぐ)遮水シートが90年ごろから破損し浸出水が地下に流出した可能性がある(2)両処分場について、焼却灰が飛散している可能性がある--などとして、住民側の主張を一部認めた。
しかし、周辺土壌などの有害物質は「環境基準の範囲内で、現時点で両処分場が汚染をもたらしているとも、将来もたらすがい然性も認められない」と判断した。
両処分場は、多摩方面のほぼ全域から排出される家庭ごみの焼却灰などを埋め立て処分してきた。92年に谷戸沢処分場を訪れた住民が遮水シートの補修跡を発見。住民ら166人が95年に提訴した。循環組合は「有害物質が飛散・流出している事実はない」と全面的に争っていた。【苅田伸宏】
毎日新聞 2006年9月13日