日清製粉(本社・東京都千代田区)が神奈川県鎌倉市の海岸で撮影したCMに、ひもでつながれていない犬が走るシーンがあり、視聴者から「放し飼いを助長している」という苦情を受けた同社が放映を中止したことが分かった。同社は「マナー違反との指摘を受け止めたい。今後は留意してCM制作をする」(グループ本社総務本部広報部)と話している。
CMは、同社グループの各企業を紹介する内容。鎌倉市の七里ガ浜海岸で3月に撮影され、4月中旬から民放テレビで毎週1回放映されていた。30秒のCM中、黒い犬2匹が男性に向かって走る場面が2~3秒あった。
近くに住む自営業の男性(44)が10日の放映を見て、11日に同社に電話で「マナーの悪い飼い主が多く、犬に追いかけられたり、ふんが放置されて、地域住民は迷惑している。放し飼いを助長するようなCMはやめてほしい」と抗議した。
県動物愛護管理条例は犬の放し飼いを禁じているが、撮影時は一般人が入れないよう通行を制限していた。同社の問い合わせに対し、県生活衛生課は「条例違反ではないが、視聴者に『海岸で犬を放してもよい』という誤った印象を与えかねず、望ましくない」と回答した。同社は12日から自社ホームぺージでのCM公開を中止し、テレビでの放映も次回の17日から別のCMに差し替えると決めた。【池田知広】
毎日新聞 2006年9月14日