【ウィーン会川晴之】国際原子力機関(IAEA)9月定例理事会は13日、イラン核問題の討議に入った。米国や日本、欧州諸国、中露など十数カ国がイランに対し、国連安全保障理事会決議に従い、濃縮活動の即時停止や事態打開に向けた交渉再開を呼びかけた。ただ、イラン制裁に向けた検討を開始すべきだと主張した国は米国、豪州などごく一部にとどまった。14日もイラン核問題を討議、議長が各国の意見を盛り込んだ議長総括を取りまとめる。
米国は、イランが安保理決議に従わずに濃縮活動を継続していることに「深刻な懸念」を表明、「核兵器開発計画を放棄させるため、次の段階に入らなければならない」と安保理で制裁論議を開始する時期が来たと主張した。ただ、「制裁は外交交渉の終結を示すものでない」とも述べ、外交交渉による解決にも含みを持たせた。
また、英仏独3カ国を代表して演説した英国は、「まだ遅くない」としてイランに交渉に応じるよう要請、そのために安保理決議に従った措置を講じるよう求めた。中国は外交交渉による解決を要望する一方、イランに安保理決議に従うよう求めた。
一方、イラン支持の立場を取るキューバは、イランが8月中に回答を示す意向を示していたにもかかわらず、「安保理決議を採択し、問題を複雑化させた」と欧米諸国などを批判した。
毎日新聞 2006年9月14日