【ワシントン和田浩明】米国のイスラム系人権団体は18日、05年の反イスラム的な暴力行為や差別などが前年比約30%増えて2000件近くに達し、過去12年間で最高になったとの年次報告書を発表した。背景には、実行犯のほとんどがイスラム教国出身だった01年米同時多発テロの影響が続いていることや、米国内で目立つ反イスラム教的発言などがあると分析している。
米・イスラム連絡会議(CAIR、本部ワシントン)によると、05年に同会議が把握した反イスラム的な暴力・差別行為は1972件で、04年の1522件から29.6%増えた。このうち「ヘイト・クライム」(憎しみによる犯罪)とCAIRが分類したものは153件で前年比8.6%増だった。
具体的には▽イスラム寺院の爆破事件▽老人、女性に対する暴力事件▽イスラム寺院を対象にしたと見られる銃乱射事件--などが発生しているという。
州別ではカリフォルニア(全体の約19%)が最も多く、イリノイ(同13%)、ニューヨーク(同9%)、テキサス(同8%)などが続いている。
CAIRは「反イスラム的行為が増えている最大要因は、インターネットやラジオ番組などにあふれるイスラム恐怖症的発言だ」と主張している。
毎日新聞 2006年9月19日