与謝野馨金融・経済財政担当相は１日、一時国有化している足利銀行（本店・宇都宮市）の売却先を選ぶ作業の開始を正式表明する。新経営陣による経営改革の結果、民間での再建が可能と判断した。５日に有識者による選定組織「足利銀行受け皿選定ワーキンググループ」を設立し、売却の際の条件などについて検討を始め、１年以内に売却先を決定したい考えだ。

　「ワーキンググループ」の座長には村本孜・成城大社会イノベーション学部長が就任。そのほか、岩原紳作東大教授、松嶋英機弁護士ら金融、企業会計などの専門家４人が委員を務める。金融庁長官の懇談会として▽売却先の備えるべき条件の策定▽選定作業の過程での専門的立場からの助言▽地域からの意見聴取－－などにあたる。

　作業着手を受け、金融庁は９月中旬に福田富一栃木県知事から地元の要望を聴く。その後、１０月下旬ごろから（１）売却先に求める基本的条件を提示した上で受け皿候補を募集し１次選考（２）買収後の事業計画の提出を求め、その内容を基に２次選考（３）残った候補から買収金額と事業計画の再提出を求め３次選考－－という手順で、売却先を最終決定する。

　０３年１１月に破たんした足利銀は破たん後、人件費削減や不良債権売却を進めた結果、２期連続で最終黒字を確保。債務超過額も破たん直後の約６８００億円から０６年３月期は約３８００億円まで圧縮した。県内で圧倒的シェアを維持していることや、株式再上場で株式売却益が狙えることなどから、国内外の投資会社や地銀グループが買収に意欲を示している。【坂井隆之、沢田石洋史】

毎日新聞　2006年9月1日