離婚によって別居することになった親子の面会や交流支援に、大阪市北区のNPO法人「FLC安心とつながりのコミュニティづくりネットワーク」(村本邦子理事長)が乗り出した。離婚の際、面会ルールを取り決めても実際には履行しないケースが多く、審判や調停が急増。第三者の支援を求める声も出ていた。こうした取り組みは全国的にも極めて珍しく、専門家はモデルケースになるものと期待している。
厚生労働省によると、04年の離婚件数は約27万件。04年度の司法統計では、別居する親子による定期的な面接交渉(面会)の申し立ては審判が725件、調停が4556件に達し、いずれも00年度と比べ倍増している。
ネットワークが昨年、離婚した男女265人を対象に調査したところ、離婚時に子どもとの面会などを取り決めたのは約5割。だがこのうち面会していないケースが約4割に上った。また、全体の約4分の1が「第三者の支援があればいい」と回答したという。
ネットワークはこの調査に加え、家裁調査官や弁護士への聞き取りを実施。第三者による仲介支援が充実している米国も視察したうえで、その手法を参考に支援を始めることにした。
対象は、双方の親が子どもとの面会に合意しているものの、感情的なしこりなどで踏み切れない人たち。カウンセリングを実施したうえで、親子の現状と面会希望を詳細に調査する。その後、養育している親から子どもを預かり、ケースによっては、スタッフが同席して別居中の親に会わせる形をとる。
取り組みの狙いは、子どものために、離婚した親の意思疎通を図ること。面会後に再びカウンセリングを行い、親同士のコミュニケーションの取り方などについてもアドバイスする。
ネットワークは「子どもの気持ちを尊重し、面会交流が子どもの成長にとって、有益となるよう支援していきたい」と話している。
面会1回ごとに手数料1000円とスタッフの交通費など実費が必要。問い合わせは同ネットワーク(06・6354・8156、またはvi_project@yahoo.co.jp)。【内田幸一】
毎日新聞 2006年9月4日