国家公務員や地方公務員が飲酒運転で起こした死亡事故が、01年から05年の5年間で計53件、人身事故は計1385件に上ることが、警察庁の調べで分かった。今年は7月までに8件の死亡事故が起き、既に昨年1年間の7件を上回った。8月以降も福岡市東区で幼児3人が死亡する事故を起こすなど、公務員による飲酒運転事故が相次いでいる。同庁は12~18日を緊急の飲酒運転取り締まり強化週間に定め、全国警察で集中取り締まりなどを実施する。
同庁によると、公務員の飲酒による交通事故は95年に死亡事故が30件、人身事故総数は501件だった。それ以降、死亡事故は年間30件前後、人身事故は400~500件程度で推移していた。
99年に東京都世田谷区の東名高速道路で飲酒運転の大型トラックに追突され幼児2人が死亡した事故などをきっかけに、02年6月に改正道路交通法が施行された。酒気帯び運転の取り締まり基準が、呼気1リットル当たりのアルコール濃度0.25ミリグラム以上から0.15ミリグラム以上と厳しくなり、罰則が強化された。この影響で03年から飲酒による事故は減少に転じ、昨年は死亡事故7件、人身事故総数168件に減った。
飲酒死亡事故件数全体でみても、02年の997件から03年780件と激減したが、次第に減少幅が小さくなり、今年7月現在では前年比で増加に転じ、公務員の飲酒死亡事故と同様の傾向を示している。警察庁は「道交法改正の罰則強化による飲酒運転の抑止効果にもかげりが見られる。飲酒運転に社会が寛容なことも影響している」と分析する。福岡市の事故では事故直前まで車に同乗していた会社員も道交法違反(酒酔い運転ほう助)容疑で福岡県警が逮捕しており、警察庁は通達で同乗者などへの飲酒運転の教唆、ほう助についても捜査を徹底するよう指示した。【遠山和彦】
毎日新聞 2006年9月12日