和歌山県庁に捜索に入る大阪地検の係官ら=和歌山市で20日午前9時44分、小松雄介写す
和歌山県が04年度に発注した国道トンネル工事の入札を巡って業者が談合していた疑いが強まり、大阪地検特捜部は20日、談合容疑で、和歌山県庁知事室や共同企業体(JV)で落札した大手ゼネコン「ハザマ」(東京都)の大阪支店など数カ所の家宅捜索に着手した。業者側の関係者が調べに、和歌山などの公共工事では落札額の5%を談合の仕切り役とされる大阪府河内長野市のゴルフ場の経営者(55)に渡すことが慣例化していた、と供述。この工事では約6000万円の提供を認めているとみられ、特捜部は不透明な金銭の流れや県側の有無について実態解明を進めるとみられる。
家宅捜索を受けたのは、和歌山県庁の知事室や出納長室、ハザマ大阪支店(大阪市北区)、河内長野市で天野山カントリークラブを経営する大和開発観光と同社の経営者の自宅など。
調べによると、談合疑惑が浮上しているのは、和歌山県大塔村(現・田辺市)内の国道371号平瀬トンネル(仮称)特殊改良工事で、同県が04年11月10日に公募型指名競争入札を実施。大手、中堅と地元のゼネコンの3社がJVを組む方式で、7JV計21社が参加した。
その結果、ハザマと地崎工業(札幌市)、三友工業(和歌山市)の共同企業体が11億6550万円で落札。約11億7741万円(税抜き、以下も同じ)の予定価格に対する落札率は99%の高率だった。
関係者によると、特捜部が7月に大阪府阪南市発注の汚水処理施設の建設工事を巡る元市議らの汚職事件でハザマ大阪支店を家宅捜索した際、ゴルフ場の経営者に数千万円が渡ったことをうかがわせる内容のメモなど関係資料を押収。関係者が、同トンネル工事で和歌山県発注工事に隠然たる力を持つ経営者に約6000万円を渡したと供述し、特捜部は経営者を仕切り役に談合が繰り返されたとみて捜査を進めていた。
調べに対し、他の入札参加業者の一部も既に、談合で落札予定業者(チャンピオン)を決めたことを認めている模様で、今後は県側の関与の有無、経営者に渡ったとされる金銭の趣旨や流れを中心に捜査を進めるとみられる。
国道はルート名が一、二けたの路線はいずれも国が、三けたの路線は都道府県が建設・維持管理する。【日野行介、田中龍士】
▽ハザマ東京本店広報室の話 捜査には全面的に協力したい。コメントは、捜査中なので差し控える。