神戸保護観察所が、褒章・勲章を受章した保護司らから、記録が残る95年度以降計約600万円を受け取っていたことが23日、分かった。同観察所は更生保護活動に対する「寄付金」と説明するが、受章には保護観察所長の推薦が必要で、過去3年では約7割が受章直後の「寄付」で、事実上の礼金の疑いもある。寄付金は裏金として処理され、保護観察官の交通費などに使ったという。同観察所の富田優所長は「私的流用はないが、外部に説明できないお金で、今後は誤解を招かないよう受け取らない」と話している。
同観察所によると、寄付金は年間総額20万~90万円(2~11件)で、所長が直接受け取ることが多いという。過去3年間では、13件中9件が受章者から受章直後に渡されていた。総務課長が管理し、出所者の食事代、観察官の交通費などに充てていたとしている。現在の残金は約30万円だった。
寄付金は本来、非行少年の更生の手助けなどをする更生保護協会が受け取ることになっているが、使途が制約されることなどから、保護観察所に直接寄付を希望する保護司が多いという。同観察所の元所長は「寄付金を受け取るのは不適切だが、経費も少ない。むげに断ることもできなかった」と釈明している。
保護司の褒章・叙勲の受章は、保護観察所長が法務省に推薦する。過去に藍綬褒章を受けた神戸市内の女性は「(保護司関係者に)勧められて、受章したお礼に所長さんに10万円を渡したことがある」と話している。【田中謙吉、酒井雅浩、藤原崇志】
毎日新聞 2006年10月24日