おたふく風邪などの新3種混合(MMR)ワクチンの予防接種を受けた後、死亡した兵庫県の男児(当時1歳)の両親が、国に1億円の損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(上田豊三裁判長)は24日、両親の上告を退ける決定を出した。「ワクチン製造元への指導監督が不十分」と国の過失責任を認定したうえで、死亡との因果関係を否定して請求を棄却した大阪高裁判決(06年4月)が確定した。
1、2審判決によると、男児は89年10月、接種8日後に発熱し無菌性髄膜炎と診断され入院。回復後に再び発熱し、同12月にインフルエンザ感染による急性脳症で死亡した。大阪地裁判決(03年3月)は請求を棄却したが、高裁は髄膜炎発症と国の過失の因果関係を認定して約70万円の損害を認めた。ただし、製造元の財団法人「阪大微生物病研究会」(大阪府吹田市)が見舞金を払ったため「損害は補てんされた」として請求は退けた。
同じ訴訟で接種後の死亡や重度障害との因果関係が認められた子供2人の家族は上告しなかった。【木戸哲】
毎日新聞 2006年10月25日