交際中の女性2人を殺害したなどとして、殺人と死体損壊・遺棄の罪に問われた三重県桑名市下深谷部、無職、兼岩幸男被告(48)の論告求刑公判が25日、岐阜地裁(土屋哲夫裁判長)であった。検察側は「2人を殺害し遺体を切り刻むという猟奇的犯行を繰り返しており、人間性のかけらもなく更生の余地はない」として死刑を求刑した。12月22日に弁護側の最終弁論が行われ、来年2月に判決が言い渡される。
論告によると、兼岩被告は99年8月15日ごろ、当時交際中の愛知県蟹江町本町、渡辺愛子さん(当時43歳)宅で、金を借りていた渡辺さんを邪魔に思って絞殺、遺体をカッターナイフなどで切断し、同県小牧市内の焼却炉に捨てた。03年5月25日には、当時交際していた同県一宮市赤見、村井栄子さん(当時49歳)宅で、交際を家族や勤務先に知られることを恐れて村井さんを絞殺、遺体をカッターナイフで切断してポリ袋に詰め、岐阜市柳津町の境川などに捨てた。99年の事件の死体損壊・遺棄罪は、時効(3年)が成立している。
兼岩被告は公判で当初、二つの事件の起訴事実を認めたが、その後、99年の事件については「帰宅した時に渡辺さんが浴室で自殺していた。彼女を誰にも渡したくないと思って遺体を切断、遺棄した」などと殺害を一転否認。当初の供述について「警察や検察の圧力に迎合し、虚偽の自白が作られた」と主張した。【中村かさね】
毎日新聞 2006年10月26日