ミツバチは鼻は利くけど味音痴? 養蜂に使われるセイヨウミツバチの味覚に関する遺伝子が極端に少ないことを米イリノイ大の研究チームが突き止め、26日付の米専門誌「ゲノムリサーチ」に発表した。日米などの国際チームがセイヨウミツバチのゲノム(全遺伝情報)を解読したことに伴う成果で、解読完了は同日発行の英科学誌「ネイチャー」で報告された。
チームがゲノムを使って、味覚の受容体細胞を作る遺伝子を調べたところ、10個しかなかった。ショウジョウバエは68個、蚊は76個もある。一方、においに関する遺伝子は163個で、ショウジョウバエ(62個)や蚊(79個)の2倍以上あった。
チームは「幼虫は巣の中で大人からエサをもらっているため、必要以上に味覚受容体を発達させなかったのでは」と推測。玉川大農学部の佐々木正己教授(昆虫学)は「冬眠しないミツバチは、たくさんのみつや花粉を蓄える必要がある。えり好みをせず多くの花の香りをかぎ分ける能力が発達したのだろう」と話す。
ゲノムが解読されたのは昆虫では、ショウジョウバエ、蚊に続いて3番目。【元村有希子】
毎日新聞 2006年10月26日