【ナイロビ山本建】京都議定書第2回締約国会議(COP/MOP2)は17日(日本時間18日未明)、途上国を含めた13年以降の温室効果ガス削減の取り組みを、08年冬の京都議定書第4回締約国会議(COP/MOP4)で協議することを明記した会議報告書を採択し、閉幕した。次回の会議は07年12月にインドネシアで開かれる。
最大の課題だった途上国の取り組みを合意に導くことができたが、経済への悪影響を嫌う途上国に配慮し、具体的な内容の協議は来年以降に先送りした。今後、世界第2位の温室効果ガス排出大国・中国などを実効性のある取り組みに巻き込めるかが課題となる。
作業手順は、途上国を含めた温室効果ガス削減のための取り組みをどのような内容で進めるかなどを、各国が意見書にまとめて07年8月までに提出。08年の会議で具体的な取り組みについて話し合う。
中国など途上国は今回の会議で議論を打ち切るよう主張。毎年開かれる会議での話し合いを求める先進国と対立していた。議長国のケニアは途上国の主張に配慮。話し合いの時期を08年のみ示して具体的な削減義務に踏み込まない妥協案を提案し、中国を含む途上国の同意を取り付けた。
京都議定書は、先進国が08~12年に負う温室効果ガスの削減義務を取り決めているが、途上国に関しては特に定めていない。
■解説 新たな枠組み継続の余地を残す
京都議定書第2回締約国会議は、13年以降に空白期間を作ることなく新たな枠組みが継続する余地を残した。特に、話し合いの打ち切りを主張してきた中国やインドを交渉の場にとどめた点が評価できる。だが、合意を優先して具体的な削減策の策定を先送りしており、今後も途上国の反発による議論押し戻しの可能性がある。
排出大国の中国やインドをはじめ、途上国に温室効果ガスの削減を促すことは05年の第1回会議以降の重要な課題の一つ。特に中国は経済成長に伴い、1年ごとに東京電力1社に匹敵する温室効果ガスの排出増加があり、09年には米国を抜いて世界一の排出大国に躍り出る。今回限りで議論を打ち切るよう強く主張し、そのたびに会議が空転した。しかし、徐々に孤立した末に態度を軟化させた。
一方、もう一つの排出大国である米国との対話は、今回の会議でも不十分なままだった。
日本政府が交渉に果たした役割は大きい。17日の非公式協議では、合意を急ぐあまり、途上国に削減義務を課さないことを明記する提案がなされた。しかし「途上国にも先進国と共通の責任はある」と主張、今回の結論につなげた。
手順は決まったが、中国やインド、米国が参加しやすい土台作りが今後の課題となる。【ナイロビ山本建】
毎日新聞 2006年11月18日