厚生労働省は22日、フィリピン在住で横浜市に一時帰宅していた60代の男性が同国で犬にかまれ、国内で狂犬病を発症したと発表した。男性は重体。国内では今月16日、36年ぶりの発病が確認されたばかり。同省は発病が相次いだことから急きょポスターを作製し、空港や検疫所で渡航者などに注意を呼び掛ける。
同省によると、男性は今年8月ごろ、マニラ近郊で飼われていた犬に右手首をかまれた。10月下旬に帰国後、11月15日に発症し、21日に狂犬病のウイルス遺伝子が確認された。WHO(世界保健機関)によると、狂犬病による死者は世界で推定5万5000人(04年)で、フィリピンでは248人(同)。
狂犬病は発症後の有効な治療はないとされ、死亡率はほぼ100%。ただ、かまれた直後や事前にワクチンを接種すれば発病は予防できる。【東海林智】
毎日新聞 2006年11月22日