【ニューヨーク坂東賢治】レバノンのジュマイエル産業相が暗殺された事件で、国連安全保障理事会は21日、緊急協議を開き、事件を強く非難する議長声明を全会一致で採択した。また、昨年2月に起きたハリリ元首相暗殺事件の国際特別法廷設置に関するアナン事務総長の提案を了承し、同案受け入れを決めたシニオラ首相らを後押しする姿勢を示した。
議長声明は、ジュマイエル氏を「レバノンの自由と政治的独立のシンボルである愛国者だった」と追悼した上で、「政治的暗殺や他のテロ行動を通じてレバノンを不安定化させようとする試みを非難する」と表明した。さらにレバノンの各勢力に対し、事態の悪化を防ぐため「自制と責任感」を示すように求めている。
一方、国際特別法廷はレバノン側からの要請に基づき、安保理が今年3月の決議でアナン事務総長に具体案作りとレバノン政府との調整を求めていた。21日に公表された事務総長報告によると、法廷はレバノン国外に設置され、事務総長が11~14人の判事を任命する。 安保理は21日、報告を支持するアナン事務総長あての書簡を全会一致で採択し、法廷設置を事実上、承認した。シリアが国際法廷設置に反対していることから慎重な姿勢を示していたロシアとカタールも、最終的に了承した。書簡は一方で、アナン事務総長とレバノン代表に安保理への出席を求め、法廷設置の最終確認を求めている。
毎日新聞 2006年11月22日