国内電力会社の設備管理データの改ざん問題で、北海道電力は21日、道内の5火力発電所でばい煙の排出量や冷却水の取・排水量データを改ざんしていたと発表した。ばい煙は一部ながら大気汚染防止法で定められた環境基準値(1立方メートル当たり0.45グラム)の2倍を超えていたケースもあり、同社の管理体制の甘さが厳しく問われそうだ。
改ざんがあったのは、道内にある火力発電所12施設のうち、砂川(砂川市)▽奈井江(空知管内奈井江町)▽伊達(伊達市)▽苫東厚真(苫小牧市、胆振管内厚真町)▽知内(渡島管内知内町)--の5発電所計20基分。
このうち砂川発電所では、地方自治体との公害防止協定に基づき、2カ月ごとに報告している「ばいじん(すす)濃度データ」について、03年11~12月に同法の排出基準値の最大2.08倍となる0.94グラムを観測しながら、基準値以下の数値に改ざんして報告していた。
また、奈井江発電所では1977~79年、渇水期の取水対策として無許可で河川にコンクリートブロックを投げ入れて違法取水を繰り返していたほか、砂川発電所でも02年2月~06年12月、水利規則で認められた最大取水量より約1.2トン多い毎秒13.035トンを取りながら、取水量を超過しなかったように改ざんしていた。
同社では昨年12月に水力発電所2施設についても堤体の変位データの改ざんが判明している。矢野義尚副社長は「現場の検査担当者が設備の安定稼働を優先させていた結果と思うが、管理体制に甘さがあり、大変申し訳ない」と謝罪。3月末までに原発に対する調査や、地元住民への環境影響調査を実施する。【昆野淳】
毎日新聞 2007年2月21日 19時53分