国公立大の2次試験前期日程が25日に始まり、全国計154大527学部で受験生が試験に臨んだ。
東京大本郷キャンパス(東京都文京区)では、午前8時20分の開門前から受験生が待ち受けた。岩手県立盛岡一高の3年女子(17)は「未履修問題はあったが、集中して勉強できた。精いっぱいやりたい」と笑顔。福岡県立修ユウ館高の3年男子(18)は「手応えはあるので、最善を尽くせるよう頑張りたい」と語った。
後期日程は3月13、14日に行われる。しかし、文部科学省によると、実施しない学部・学科もあり、前期で合否を決める傾向が強まっている。また、「大学全入」時代などを背景に、学生の確保を図るため地方会場を設ける大学も33大学に上った。
同省によると、25日の1時限目の受験者は151大学507学部で22万2114人。欠席率は5.3%。2次試験全体の志願者は48万8527人。志願倍率は、大学入試センター試験が始まった90年度以来初めて5倍を下回り、過去最低の4.8倍。【長野宏美】
◆試験問題に裁判員制度など
2次試験(前期日程)で、今年は横浜国立大や群馬大などが毎日新聞の記事から出題。09年までに始まる裁判員制度を取り上げた社説や、コラム「発信箱」などが試験問題に使われた。
横浜国立大(横浜市)は学校教育課程の「総合問題1」で、裁判員制度を取り上げた昨年5月23日の社説を題材に選んだ。先進諸国と比較した日本の司法制度の問題点についての論旨を記述させるなどした。
群馬大教育学部(前橋市)では、国語専攻で05年6月22日朝刊のコラム「発信箱」▽障害児教育専攻で昨年1月21日朝刊の小学校給食での「いただきます」の言葉を巡る記事が、それぞれ小論文の問題として引用された。
愛媛大法文学部(松山市)の外国語では、05年11月2日朝刊に掲載された岐阜県郡上市の「郡上八幡地区」を訪れた記者のルポを「モッタイナイ」という言葉に結びつけて紹介する文章を問題に使用。毎日新聞の記事中の一文を英訳させた。
山梨大医学部看護学科(山梨県中央市)は昨年11月26日朝刊の中村達也氏の「『豊かさ』の誕生-成長と発展の文明史」(W・バーンスタイン)に関する書評の一部を抜粋。残り部分について記述させて、書評を完成させる問題を出した。
長崎県立大(長崎県佐世保市)は経済誌「エコノミスト」(毎日新聞社、06年4月25日号)に掲載された山内直人氏の「利己心と利他心」をテーマとした文章を読ませ、「『世のため人のため』を動機付けるために企業や政府はどのような行動、手段をとるべきか」を800字以内で書かせた。【まとめ・佐藤敬一】
毎日新聞 2007年2月25日 20時14分 (最終更新時間 2月25日 20時53分)