「東京の玄関口」で日本の顔でもあるJR東京駅周辺で高層オフィスビルが続々と姿を現している。先行してビル建設が相次いだ丸の内に比べ、地味な印象があった八重洲や日本橋口に、JR東日本などが約2000億円をかけた再開発で、8日に完成したサピアタワー(35階、約170メートル)をはじめ、今年三つのビルがオープンする。JRは、ブランド店が集まり、全国から人が訪れる丸の内地区に追いつき、東京駅と周辺地区の魅力を高めたい考えだ。【増田博樹、小倉祥徳】
日本橋口のサピアタワーはオフィスとホテルメトロポリタンが入る。10月には八重洲口に南北二つの「グラントウキョウタワー」(42階と43階、ともに205メートル)が完成、ノースタワーには大丸東京店が移る。今の大丸ビルは取り壊して駅前広場を整備し、両タワーをつなぐデッキを大屋根で包み込む「グランルーフ」が13年春に完成する。
大丸は移転に伴い、店舗面積を現在の1・4倍に拡大。丸の内への流出が続いていた買い物客を呼び戻す考えだ。また、ホテルは、駅前の利便性をアピールしてビジネス客の取り込みを狙う。
JRは丸の内駅舎を1914年の創建当時に復元する工事も近く始め、11年度に完成する予定。鉄骨れんが造り3階建てだったが、45年の空襲で3階が焼失した。資料も一部焼失しているが、当時の写真などを参考に元の姿に近づけるという。
このほか、サピアタワー東側には森トラストの「丸の内トラストタワー本館」が08年11月に完成予定で、外資系高級ホテル「シャングリ・ラ ホテル東京」が入る。
一方、三菱地所の再開発が先行した丸の内側では4月27日に「新丸の内ビルディング」(38階、198メートル)が完成、98年に始まった再開発の第1段階がほぼ終了する。
オフィス一辺倒の街からの脱皮を目指した三菱地所は、夜間や休日もにぎわう街にと、丸の内に海外人気ブランド店を集めた。新丸ビルの完成で、同社が開発した同地域ビルの店舗面積は10万平方メートル超と、百貨店で国内最大の松坂屋名古屋店(8万6758平方メートル)を上回る。再開発の第2段階となる三菱商事ビル建て替えに合わせた美術館の建設も決まっており、同社は商業施設だけではない新しい街の魅力をつくり出したい考えだ。
毎日新聞 2007年3月8日 20時51分 (最終更新時間 3月8日 22時43分)