自民党名古屋市議団の政務調査費を巡り、名古屋市民オンブズマンが松原武久・同市長を相手取り、03~04年度に支出した政調費の一部2870万円を同市議団から返還させるよう求めた訴訟の判決が22日、名古屋地裁であった。中村直文裁判長は、同市議団の政調費の取り扱いについて「政調費の趣旨と使途基準に反する」とした上で、違法性を認定。松原市長に対し、同市議団から返還済みの410万円を除く計2460万円を返還させることを求めるよう命じた。
判決によると、同市議団は議員1人当たりに支給される月額55万円の政調費のうち5万円を団の共通経費として徴収。03~04年度の共通経費については「全額を使用した」との収支報告書を議長に提出したが、実際は余剰金が発生していた。判決はこの会計処理に関して「余剰金を収支報告書に『支出』として計上するのは違法」と判断。さらに、同市議団の支給の仕組みを「余剰金に転化されることになるような支払い方法は、政調費の趣旨に反する」とした。
この共通経費について、04年度に団長を務めた西村健二市議(離団)は訴訟で「97~03年度までの間の余剰金計3300万円は改選時に所属議員に分配した」と目的外使用を証言している。
同市議団の政調費を巡っては、市議団が05年6月、西村市議が共通経費を着服したとして業務上横領容疑で被害届を提出。西村市議は同月、名誉棄損だとして市議団に2000万円の損害賠償を求めて提訴した。04年度には病気療養中の市議に政調費450万円が支払われていたことも判明している。【月足寛樹】
毎日新聞 2007年3月23日 2時15分