米戦略国際問題研究所(CSIS)が協力し、日米の元政府高官や経済界の代表らが参加する「パシフィック・ビジョン21東京会合」が9日、都内で開かれた。安倍晋三首相は昼食会であいさつし、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉について「最終的な出口が見えてきた」と述べ、妥結が近づいているとの見通しを示した。
「パシフィック・ビジョン21」の昼食懇談会であいさつする安倍首相(9日午後、東京都千代田区)
その上で「日米が協力して人、モノ、資本が飛び交う自由な経済圏をつくっていきたい」とも強調した。TPP交渉に参加している12カ国は、年内の妥結を目指して交渉を進めている。
TPP交渉は4月19~21日未明まで日本で日米閣僚協議を開き、両国間の懸案として残るコメと自動車分野の政治決着を目指した。
日米の経済規模はTPP交渉参加国全体の約8割にものぼり全体交渉の行方を左右するが、合意には至らなかった。4月28日に米ワシントンで開いた日米首脳会談では「妥結を達成するためにともに取り組む」との共同声明を発表した。
交渉参加国は15日から25日まで米グアムで首席交渉官会合を開いて詰めの協議に入る。11日間という長めの日程を用意して交渉を進展させ、その後に開く見通しの閣僚協議での妥結を目指す。
TPP妥結には、米大統領に通商交渉の権限を委任する貿易促進権限(TPA)法案が米議会で成立することも前提となるが、依然成立していない。