量販店などでの酒の安売りが行き過ぎないよう規制する法案が、成立する見通しとなった。財務相が「公正な取引の基準」を定めて、従わなければ販売免許を取り消すことができる。中小の小売業者などが規制を求めていた。
10日の衆院財務金融委員会で、酒税法などの改正案を委員会提出法案として全会一致で決めた。12日の衆院本会議で可決後、参院でも近く可決する見通しだ。
法案では、これまでは販売事業者が対象だった財務相による販売取引の実態調査を、取引先などに拡大する。また、酒類小売業者が店舗ごとに置く販売管理者が必要な研修を受けないなどの違反行為に、新たに罰則(50万円以下の罰金)を科せるようにした。
ただ、「公正な取引の基準」の内容はあいまいで、決まっていない。規制を求めた国会議員からは、「大手の安売り攻勢に警鐘を鳴らす意義はあるが、効果は限定的」との声が上がる。規制により販売価格が上がれば、消費者の反発を招く可能性もある。(奈良部健)