新美術館の建設予定地(手前)。周辺には国立国際美術館や市立科学館がある=大阪市北区中之島、朝日新聞社ヘリから、遠藤真梨撮影
大阪市が30年以上も前に打ち出した「新美術館」をつくる構想。一時は財政難で消えかけたが、今年度の予算に建物の基本設計費などが計上された。めざすは2021年度のオープン。「宝の持ち腐れ」とも言われた多くの近現代名画は、ついに日の目を見るのか。
■構想から30年超
「たくさんのすばらしい作品は、美術館で生かさないともったいない。大阪を誇れるような新美術館にしていきたい」。吉村洋文・大阪市長はそう意気込む。
最初に整備構想が発表されたのは、33年前の1983年。市制100周年(89年)の記念事業だった。実業家の故・山本發次郎(はつじろう)さんの佐伯祐三コレクションが寄贈されたほか、市もモディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」を約19億円で購入するなど公金をつぎ込み、これまでに日本や西洋の近現代の絵画など計約4900点を集めた。
「コレクションの質は日本の美術館でもトップクラス」(新美術館建設準備室)だが、国内外の美術館に一部が貸し出される以外は、収蔵庫の中で眠っている状態が続いてきた。
98年の基本計画は整備費を2…