パーム油の原料となるアブラヤシの実(マレーシア、WWFジャパン提供)
揚げ物の油や菓子、せっけんなど身近に使われるパーム油の調達で、日本のスーパーや食品メーカーが環境配慮の取り組みを始めている。原料となるアブラヤシの急速な生産拡大が自然環境に悪影響をもたらすとされ、非営利組織による認証制度の活用を進めるが、欧米企業と比べると遅れも目立つ。
東京都西東京市にある西友ひばりケ丘店では、パーム油を使って従業員がパンを揚げている。スーパーの西友は、総菜やプライベートブランド(自主企画)商品に使うパーム油の量を把握。使用量に応じて、世界自然保護基金(WWF)などでつくる非営利組織「持続可能なパーム油のための円卓会議(RSPO)」の関連団体が発行する証書を購入している。証書の代金は、環境負荷を軽減しながらアブラヤシを栽培しているRSPOの認証農園に分配される仕組み。西友は2011年から準備を進め、ここ数年で本格化させている。
アブラヤシはマレーシアとインドネシアで8割が栽培されている。急激な農園開発で、熱帯雨林の減少や焼き畑による火災、先住民が住まいを失うといった問題が発生。04年、持続的な生産ができるようにとWWFや欧米企業などがRSPOを設けた。RSPOは「森林破壊をしていないか」「先住民の居住権を侵していないか」など、43の基準を満たした農園に認証を出す。食品メーカーなどにこれらの農園が生産する油の使用を促し、農園の経営を後押しする狙いだ。
食品大手の味の素は現在、国内の家庭用食品の約5割にRSPOの認証農園がつくった油を使う。同社は今月発表した中期経営計画に、自社の冷凍食品や総菜などに使うパーム油を「100%持続可能なものにする」との目標を盛り込んだ。花王やユニリーバ・ジャパンも、シャンプーやせっけんなどに使うパーム油について認証油や証書の購入を今後拡大する方針だ。
RSPOには欧米を中心に今年…