森友学園をめぐる政治家の仲介に関する発言
大阪府豊中市の国有地を取得した学校法人「森友学園」(大阪市)が国会議員や地方議員に口利きを依頼したり、協力を求めていたりしたことが明らかになった。一方、議員からの働きかけの記録や報告の制度は省庁や各地の自治体で作られつつあるが、不当な働きかけの判断基準があいまいな例も多く、実効性に疑問の声もある。
特集:森友学園問題
「学校をつくりたい」。森友学園の籠池泰典理事長は、黒川治・兵庫県議(自民)にこう話し、鴻池祥肇(こうのいけよしただ)元防災担当相につないでくれるように頼んだという。黒川氏は2013年8月、神戸市の鴻池事務所を訪れ、学園側への対応を依頼。学園側は、その約2カ月後の黒川氏のセミナーのパーティー券2万円分を購入した。
黒川氏は鴻池氏の元公設秘書。黒川氏によると、籠池氏と知り合ったのは2008年。共通の知人と一緒に来た籠池氏に「(学園が運営する)幼稚園で鴻池先生に講演をお願いしたい」と頼まれたという。黒川氏はその要望を鴻池事務所に伝え、鴻池氏は同年7月に幼稚園で講演した。
籠池氏と連絡を取ったのは10回ほど。頼まれたのは、鴻池氏への講演依頼と小学校建設をめぐる紹介依頼の2回で、籠池氏から「(小学校の)場所が決まりました」などと何度か連絡を受けたという。黒川氏は国などへの働きかけは否定したうえで、「籠池さんはいい人だが、ずっと頼んでくる人」と話した。
鴻池事務所が作成した陳情整理報告書によると、この後、籠池氏は鴻池氏側と繰り返し接触。「上から政治力で早く結論が得られるようにお願いしたい」などと依頼したとされる。鴻池氏や事務所は口利きを否定しているが、土地取引は結果的に籠池氏の要望に沿うかたちで実現した。