横溝正史「雪割草」の草稿=東京・九段下の二松学舎大学
探偵小説で知られる作家横溝正史(1902~81)による長編小説「雪割草(ゆきわりそう)」の全編が確認された。二松学舎大学(東京都千代田区)が21日、発表した。これまで、題名と内容のごく一部しか知られていなかった。探偵小説が忌避された戦時下に書かれており、横溝異色の家庭小説だという。「八つ墓村」「犬神家の一族」などに登場する名探偵金田一耕助の原型のような人物が登場している。
「雪割草」の草稿は同大に6回分11枚、東京・世田谷文学館に2回分15枚が所蔵されていたが、掲載媒体が特定できず全体像が分からなかった。同大文学部の山口直孝教授と探偵小説研究家の浜田知明さんが、草稿を頼りに、原稿用紙の種類や、戦時中に横溝が筆跡を変えたこと、描かれた場面などから執筆時期を推定。山口教授は「タイトルから雪国の地方紙ではないか」と横溝にゆかりのある長野や新潟の地方紙を国会図書館で調べ、「新潟日日新聞」での掲載を見つけた。1941年6月~12月、「新潟毎日新聞」と後継紙「新潟日日新聞」(現在の新潟日報)に全199回で連載されていた。
「雪割草」は400字詰め原稿…