保育園や幼稚園のプールで子どもが溺れる事故を防ぐために、「ながら監視」は絶対にやめてほしい――。プール監視の専門家が保育士らに呼びかけています。
「溺れる時はバシャバシャと音をたてるイメージを持っていませんか?」
6月末、横浜市内で開かれたセミナーで、河波弘晃さん(42)が約20人の保育士らに呼びかけた。河波さんは18歳からプールで監視役を務めるベテランのライフガード。溺れた人が水中で必死にもがいても、静かに泳いでいるように見えることが多いので注意が必要と説明した。
河波さんが強調したのは、担当者は監視に専念すること。道具の片付けを同時にするといった「ながら監視」は、事故に気づけなくなるため「絶対に避けてほしい」。
園児数に対して監視が何人必要かは「一概には言えない」としつつ、「重要なのは、水面、水中、水底の全てで死角をなくすようにすること。複数人が理想です」。子ども同士が重なったり、太陽の光が反射したりして死角ができることもある。「監視には相当な集中力が求められる。30分を限度に交代したほうがいい」と指摘する。
視覚の他には音に気をつけることが重要。「特に音が聞こえなくなった時に敏感になって」。バシャバシャという音がしなくなった時は何か起きている可能性があると考え、子どもに声をかけて異変が起こっていないか確認することが大切という。
事故が起きた時は、すぐに119番通報。自動体外式除細動器(AED)やポケットマスクをプールサイドに準備し、事前に使い方の講習を受けておく必要がある。AEDは自動的に必要かどうかを判断した上で、心臓に電気ショックを与える装置。ポケットマスクは人工呼吸をするための道具で、口と口を直接つけることがないため、感染を防いだり、精神的負担を減らしたりする。河波さんは「安全確保はお金がかかるもの。『予算がないから』は通用しない」と話す。
■水を入れない状態で監視位置を…