日本人のブラジル移住110周年に合わせて、同国のヌネス外相は朝日新聞に寄稿した。要旨は次の通り。
眞子さま「心より敬意」ブラジル移住110年式典お祝い
日本人移住110年、ブラジル外相「貴重で濃厚な影響」
◇
日本はアジアにおけるブラジルの最も伝統的なパートナーです。1908年6月18日に笠戸丸が最初の日本人移民を乗せてサントス港に到着して以来、移民とその子孫は、何世代も通して我が国の発展に貢献しました。
移民110周年の現在、世界最大の日系人コミュニティーがブラジルにはあり、20万人ほどの日系ブラジル人が日本に住んでいます。我々の人的交流を祝うために、眞子内親王殿下をブラジルにお迎えすることはこの上ない光栄です。
私たちの歴史的関係は、多くの分野で成功をもたらしました。ブラジル中央部のセラード地域での農業生産拡大への日本の協力は、ブラジルが食料輸出の世界的リーダーになるのに貢献しました。また二国間の貿易・投資の流れは、日本が南米の主要な経済パートナーであることを示しています。このパートナーシップはさらなる拡大の余地があると確信しています。
私は日本との戦略的グローバルパートナーシップの強化のため、5月17、18日に東京を訪れました。両国は民主主義、法の支配、人権、多国間主義と持続可能な発展という価値観を共有しています。日本の閣僚や企業家との2日間の協議から得た結論は「まだ大海のごとくの機会がある」との短い言葉でまとめることができます。
15、16年の景気低迷後、ブラジル経済は17年に1%成長しました。18年はさらに成長する見込みです。テメル大統領の経済改革計画は、ブラジルを持続的な成長路線に戻しました。経済回復に伴い、ブラジルは再び投資家に魅力的な国となりました。
ブラジル経済の肯定的な見通しは、貿易と投資の機会を増やします。テメル大統領が16年に東京を訪問した際、ブラジルと日本はインフラ投資促進協力の覚書を締結し、日本の投資にとって最善の環境を確保しました。この覚書に基づき、両国は水道、衛生、鉄道、エネルギー、ITおよび通信などの主要分野での協力を拡大するために取り組んでいます。
ブラジルと日本はまた、保護主義ではなく自由貿易が、ビジネス環境、雇用創出、投資、技術革新を促進する最善の方法であるとの見解を共有しています。
ブラジルは南米南部共同市場(メルコスル)の一員として、欧州連合(EU)、カナダ、インドなどとの重要な協定締結交渉に携わっています。19年には、南米は実質的に自由貿易地域となります。ブラジルは日本をメルコスルの経済パートナーとして熱烈に歓迎するでしょう。
私たちの人的、政治的、経済的な関係は地理と歴史を越え、より緊密な協力の道を開くことを約束します。私たちの社会に恩恵をもたらす道をブラジルとともにつくり出したことに対して、日本国民と政府に感謝いたします。