日本からのブラジル移住が始まって今年で110年。最大都市サンパウロでは21日、記念式典が開かれた。両国の節目の年に訪日した同国のアロイジオ・ヌネス外相は朝日新聞の単独会見に応じ、両国の政治や経済の交流が深まるなか、「互いの存在感はさらに高まる」と期待を示した。
眞子さま「心より敬意」ブラジル移住110年式典お祝い
日本との協力「大海のごとくの機会」 ブラジル外相寄稿
移民781人を乗せて神戸港を出港した最初の移民船「笠戸丸」がブラジルのサントス港に到着したのは1908(明治41)年。第2次大戦の前後には迫害の対象にもなったが、移住は戦後も続き、73年までに計25万人が渡った。いまブラジルで暮らす日系人はサンパウロを中心に190万人に上ると推計されている。また約20万人のブラジル人が日本で暮らす。
ヌネス外相は「日本と接するにも、わざわざブラジルから出る必要がないほどだ」と、日本人移民が残した影響の大きさを語った。「サンパウロでは特に日本の存在が豊かだ。貴重で濃厚な影響がある」と説明。日本からの情報発信を目的にした「ジャパン・ハウス」が昨年、サンパウロに建設されたことにも触れ、「日本との素晴らしい接点となった」と語った。
ヌネス氏は朝日新聞への寄稿でも「日本はアジアにおけるブラジルの最も伝統的なパートナーだ」と指摘。5月の訪日で日本の閣僚や企業家と会談した際の印象として、両国には「まだ大海のごとくの機会がある」との見方を示した。(田村剛)