21日に開幕した主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、トランプ米政権の保護主義で深刻化する通商問題が最大の議題となる。開幕直前にトランプ大統領が中国・欧州の通貨安を批判して浮上した通貨問題も焦点だ。米国と他国の対立が深まる中、G20が協調姿勢を示せるかは見通せない。
G20会議は22日までアルゼンチン・ブエノスアイレスで開かれ、日本からは麻生太郎財務相と日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁が出席する。
米政権が仕掛けた各国との通商摩擦は、今月初めに知財侵害を巡り米国が中国製品に高関税を発動し、中国が報復したことで過激さを増している。さらに19~20日、トランプ氏は中国や欧州連合(EU)が貿易面で有利になるよう自国通貨を安く誘導していると批判。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げにも不満を示した。
G20では、米国の利上げで新興国から高金利のドルに資金が流出する問題も話し合う。トランプ氏の動きに呼応して、経済基盤の弱い新興国でも中央銀行の独立性が侵されれば、インフレ懸念が広がりかねない。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は21日の記者会見で、トランプ氏の動きについて問われ「IMFは中央銀行の独立性を重視している」と釘を刺した。通貨安による経済不安から、IMFの金融支援を受けることになったアルゼンチンについても「安定実現には中央銀行の独立性がカギだ」と指摘した。
トランプ氏に対抗するように、…