日本初の本格的な都とされる奈良県橿原(かしはら)市の藤原京(694~710年)跡で、中国・唐でつくられた「唐三彩(とうさんさい)」とみられる焼き物の破片がみつかった。市教育委員会が20日発表した。国内で出土した最古級の唐三彩の可能性が高く、飛鳥時代後半の国際交流を考える上で注目される。 市教委は昨年7~11月、市道拡幅工事に伴って発掘調査を実施。天皇の宮殿だった藤原宮跡(特別史跡)から西に約1・6キロ離れた、京内の「右京五条七坊東南坪」とされる場所から出土した。大きさは縦2・6センチ、横4・3センチ、厚さ0・5センチ。表面が白と緑、茶色でまだらに彩られている。奈良県立橿原考古学研究所が成分分析し、唐三彩の可能性の高いことが判明。7世紀末~8世紀初めにつくられた陶製の枕(ちん)(まくら)の一部とみられる。 唐三彩は、国内では寺院や宮殿跡などで出土するケースが多い。今回の出土地近くには「山本寺」と呼ばれる寺院があったとみられ、実態が不明な山本寺との関連も指摘される。 7世紀後半の東アジア情勢は大きく揺れ動いた。日本は663年の白村江(はくそんこう)の戦いで唐と新羅(しらぎ)の連合軍に敗れ、約30年間、遣唐使は途絶えた。大宝2(702)年に再開された後、中国をモデルにした律令国家づくりが一気に進展することになる。高橋照彦・大阪大学教授(考古学)は「唐三彩が日本にもたらされた初期の事例として意義深い。大宝期の遣唐使が中国から持ち帰った可能性があり、遣唐使の実態を知る上でも貴重な発見だ」と話す。 唐三彩片は、21日から橿原市の歴史に憩う橿原市博物館で展示される。問い合わせは博物館(0744・27・9681)へ。(田中祐也) |
国内最古級か? 唐三彩片が藤原京跡から出土
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