「災害級」の暑さは、人々の暮らしに大きな影響を与えている。飲料や冷却商品などの売れ行きは伸びているが、高温で生育状況が思わしくない葉物野菜は価格が高騰。屋外で働く機会が多い建設業界では、作業員の熱中症対策を急ぐ。
東京都江東区のスーパー「たつみチェーン豊洲店」。入り口近くには25日午前、割高な値段をつけた野菜が並んでいた。店長の村松義康さん(59)は「キャベツは普段より100円、ホウレンソウは50円高い。いつもより売れなくなっている」と話す。
店では今月初旬の西日本豪雨以降、葉物野菜の価格が高止まりしていた。そこに追い打ちをかけたのが、連日続いた猛暑だ。暑さの影響が本格的に出てくるのはこれからだといい、村松さんは「さらに値上がりする可能性がある」と心配する。
農林水産省によると、高温と少雨で腐ったり生育の遅れが生じて出荷が少なくなったりして、群馬や長野県産を中心にキャベツ、レタス、ホウレンソウなどの葉物野菜の市場価格が平年より高騰している。
特に目立つのがキャベツで、東京都中央卸売市場の1キロあたりの卸値は平年比65%増の129円(23日時点)。2週間前より48円値上がりした。「JA全農ぐんま」の担当者は「暑さが一段落してほしいというのが産地の願い」と話す。
また、暑さで乳牛の搾乳量が減っている地域もある。同省は各地の農家に、ハウス内を生育に適した温度に保つことや、扇風機による家畜への送風といった暑さ対策を求めている。農作業中の熱中症への注意も呼びかけている。
炎天下で働く人にとっても、暑さは切実な問題だ。
大阪市の建設会社「三和建設」は、現場に作業員が頭を洗うためのシャワーを設置している。「水浴びは体温を下げる効果がある。導入後、熱中症を訴える人が減った」と担当者。ゼネコン大手「大成建設」は現場にミスト送風機を設置したほか、看護師が常駐し、作業員のケアに当たっているという。
気象庁によると、全国927の観測点のうち、14~25日の12日間連続で、100地点以上が猛暑日となった。暑さが長く途切れなかったことで、商業イベントの中止も相次いだ。
16日に日比谷野外音楽堂(東京都千代田区)で予定されていた松山千春さんのコンサート。ファンやスタッフらの体調面を考慮し、中止となった。所属事務所の担当者は「会場が屋外で年齢が高いファンもいる。苦渋の決断で、松山自身も残念がっていた」と話す。
東京ディズニーランド・東京ディズニーシー(千葉県浦安市)は14日以降、ステージショーやパレードの一部を計5日間中止した。昨年の中止は7月の1日間のみだった。運営会社のオリエンタルランドは「来場者と出演者双方の体調を考慮して中止を決めた」。今後も気温や湿度を考慮しながら、日ごとの対応を決めていくという。