エネルギーの安定確保のため、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」が出資し、海外で開発したガス田について会計検査院が調べたところ、ガスを産出したにもかかわらず、国内に運ぶめどが立たない場所があることがわかった。天然ガスを船で輸送するには液化天然ガス(LNG)に加工しなければならないが、加工施設が建設できないという。
検査院が27日に国に報告した内容によると、問題となっているのは、カナダにある3カ所のガス田。同機構が、2012年度以降、開発会社に計800億円あまりを出資したり、計約1475億円分の債務保証をしたりして産出に至った。計画では、ガスは別の企業が建設する施設でLNGに加工する予定だった。
ところが、資源価格の下落を理由に建設計画が中止されるなどし、輸送に必要な液化の加工ができなくなったという。このため検査院は、産出したガスを海外企業が保有するLNGと物々交換するなどして、国内に運ぶための措置を講じるよう同機構に求めた。
大半を輸入に頼る天然ガスや石油を安定的に確保するため、国は04年に設立した同機構を通じて海外での資源開発に出資してきた。機構は16年度までに開発会社計50社に、計約5463億円を出資、計27社に約1兆3千億円分の債務保証をしている。カナダのガス田開発もこうしたプロジェクトの一環だ。
一方、機構が出資した50社の…