西日本豪雨の影響で、被災地周辺の観光産業が打撃を受けている。大きな被害が出た地域から離れた名所でも客足は例年の半分に届かず、ホテルのキャンセルが相次ぐ。夏休みの行楽シーズンを迎えて、業者らは頭を痛めている。
被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信
西日本豪雨、列島各地の被害状況は
数々の映画の舞台となり、「坂と猫の街」としても知られる広島県尾道市。一部地域で続いた断水は21日までに復旧したが、客足はなかなか戻らない。
「尾道の成長産業である観光に大きな被害が出ている」。平谷祐宏市長は18日の記者会見で訴えた。市内で2人が死亡した一方、戦災を免れて古い町並みを残す旧市街地や村上海賊の居城跡など観光地に大きな被害は確認されていない。
昨年の尾道市の観光客数は約680万人。2009年から上昇の一途だが、市の担当者は「それも豪雨までの話かもしれない」。夏休み期間に入った日曜の22日、尾道商店街の人通りはまばらだった。土産物店は「客の入りは例年の半分に届かない」と落胆する。
市内でホテル3軒(計175客室)を経営する尾道国際ホテルグループによると、8月の予約は「例年の半分程度」。営業担当者は「本来なら高い価格設定でも売れる時期。ダメージは大きい」と話す。
地元はイメージ回復に躍起だ。28日には「おのみち住吉花火まつり」が開かれる。自営業者らでつくる尾道住吉会は中止も検討したが、実施を望む地域の声に後押しされた。同会の担当者は「停滞した町が活気を取り戻すきっかけにしたい」と願う。
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