中国での事業展開を目指していた米フェイスブック(FB)が今月、杭州市にインターネット技術の開発や投資を手がける子会社を設立した。中国政府の営業許可によると、交流サイト(SNS)に関する業務は現時点で営業範囲に明示されていない。中国は検閲が及ばないFBへのネット接続を遮断中で、自由に使えるようになる気配はない。
中国子会社のフェイスブック科技(杭州)は、資本金3千万ドル(約33億円)で18日に設立された。起業家の支援を手がけるほか、膨大な広告需要を抱える中国での事業展開を視野に入れているとみられる。
だが、中国は体制安定を優先してネット上の言論を統制しており、検閲が及ばないFBをはじめ、海外のネットサービスへの接続を遮断している。同社のサービスでは、写真共有アプリのインスタグラムも使えない。
中国当局は子会社の設立を認めながらも、FBへの警戒は解いていないようだ。子会社設立が24日に中国国内で話題になった後、政府のウェブサイトから子会社の営業許可が閲覧できなくなり、関連するニュースも一部削除された。中国のSNSサービスと同様に検閲を受け入れない限り、中国でのSNS展開が難しい状況に変わりはなさそうだ。
たとえ検閲を受け入れて中国でSNSを展開できたとしても、前途は多難だ。FBと似た投稿機能を備えた対話アプリのウィーチャットなど、中国のアプリが市場を抑えているからだ。(北京=福田直之)