「三井(みい)の晩鐘」で知られる大津市の天台寺門宗総本山三井寺(園城寺〈おんじょうじ〉)に8月1日、宿坊「和空 三井寺」がオープンする。泊まれる寺社の予約サイト「テラハク」を運営する和空(大阪市)は民泊新法のもと、同寺をテラハクの目玉として外国人観光客らにアピールしていく。
宿坊は、江戸時代初期に再興された妙厳(みょうごん)院を改装したもの。3LDKの和室にはベッドを置き、仏像を安置した仏間もある。1日1組の限定で8人まで泊まれる。料金は1泊10万~20万円程度(税抜き)。精進料理を楽しんだり、山伏や座禅、写経などを体験できたりするプランも用意している。
三井寺の福家俊彦執事長は「大津には琵琶湖などの自然や歴史、文化のポテンシャル(潜在力)はあるが、課題はそれをどう引き出すか。訪れた国内外の人がゆっくりした時間を過ごせる場になれば」と話す。
和空はインターネット上で宿坊を国内外に紹介。現在は青森県から九州まで約10の宿坊を掲載している。田代忍社長は「お寺に泊まれること自体、まだ広く知られていない。歴史や文化に触れる特別な体験が宿坊」だと強調し、国内外の旅行予約サイトと提携を進めている。年内には、民泊新法の手続きを進める約100寺社のサイト掲載をめざす計画で、寺側に運営面でのサポートもしていくという。(新井正之)